平成3年度 研究報告 大分県工業試験場
7 消石灰によるゼオライト粉末の団結化
曲
〔、さす.
化学部 池 辺
1 はじめに
ゼオライトはイオン交換能を持つ含水珪酸塩鉱物
の総称である。結晶水が脱水しても構造が変化せず
オンブスト亡了一… ム単位の空孔として残るため、強い 吸湿力やガス吸着能が生まれる。また、水溶液中で は陽イオンの交換能が生じる。
ゼオライトはその吸湿、吸着、陽イオン交換能を 利用して、畜産用として飼料、畜舎の防臭、農業用 土壌改良斉り、工場排水、排気ガスの浄化、水質浄化、 洗剤のビルダー… 等に使用されている。
ゼオライトには天然のものと合成品とがあり、天
然品の場合には、採掘された岩塊を粉砕。分級して 製品とするが、この際、微粒分が過剰に生成する。
このゼオライト微粉末の有効利用を図るため、産
地の島根県工業技術センターでは平成2年度に山口
大学と共同研究を行い Fセメントによるゼオライト 粉末の固結化』について報告している。
しかしながら、ゼオライトの主用途が畜産や農業 ′ 吊であることを考えると、団結剤としてセメントを 使用することには抵抗がある。
さて、大分県は全国有数の石灰石産地であり、試
験場でも多数の関連研究を行っている。その成果の
一つに消石灰を園結剤とする方法 F炭酸化による硬 化体の製造』があり、特許を取得している。消石灰
は元々、農業用に広く使用されており、ゼオライト
粉末の固結化には最適な材料と考えられる。 本報はゼオライト粉末の固結化に炭酸化の方法を 応用した結果について報告する。
表1ゼオライトー消石灰造粒体の配合表
2∼3%を残し大部分を造粒機にいれ、造粒状態を
見ながら適時加水し、最後に先の混合粉の残りを役
人して粍「の表而を固めた。使用した機械は㈱三英
製作所製の混合造粒機パワーニーダーPK【150で
ある。
造粒した試料は安中に3日間放置して風乾しつつ
空気中の炭穀ガスで炭酸化させた後、含水率と炭酸
化率を測定した。
4 結果及び考察
(1)造粒品の含水率、炭酸化率
風乾造粒体の含水率及び炭酸化率の測定結果を表
2に示す。含水率がゼオライト80%(以後Z80と略
記)のもので最大値を示した理由はゼオライトと消
石灰の粒子径の差によるもの、すなわち顆粒子であ
るゼオライトの隙間に消石灰が人り込んだ結果粒子 間隙が狭くなり毛綿管現象で水分が蒸発しにくくな ったためと考えられる。炭酸化率は当然のことであ るが造粒体の元々の消石灰量が少ないもク)ほど高い 炭酸化率を示している。
(2)造粒性、造粒品の強度について
造粒作業は、Z80のものが容易で粒子径の均→な
造粒体が得られた。次いでZ50¢Z20の順であり、
2 試料。試薬
ゼオライトの微粉末は商品名イズカライト(出雲 化学工業㈱)60メッシュ品を、消石灰には米庄石灰 工業㈱の特選消石灰を使用した。
表2 造粒体(風乾後)の含水率、炭酸化率
3 実験方法
ゼオライトと消石灰を表1〔1)割合で配合、混合粉
平成3年度 研究報告 大分県工業試験場
上段は造粒体全体としての塩基交換容量、下段は 造粒体中のゼオライト正味量に換算した(炭酸化率 で補正)数値である。表に示されるように塩基交換 能は、固結化によりむしろ向上している(原因につ いて現段階では不明)。
5 まとめ
消石灰の炭教化反応により、ゼオライトの粉末を その特性を低下させずに低コストで固結化できる。
この方法はセメントを使用する場合に比べ、特に 農業用に使用する場合は抵抗なく受入れられるもの
と考えられる。反面、問題点としては①流水中での 消石灰の溶出。②自由な成形性、厚物の強度がセメ
ントに比べ劣る点が考えられる。
また、農業用としての用途を考えると、消石灰の 量を多くして造粒消石灰の高級化を図る方法、水の 替わりに液状肥料を使用する方法が考えられる。
寅後にゼオライト試料を提供していただいた、西 日本産業㈱に対し謝意を申しあげます。
Zl OOあるいはZOでは、数個の粒子が団子状に固まっ たものが大半であった。粒子径は混合造粒機の回転 数等運転条件で変わり得るが、今回得られたものは Z80で直径が3∼6m恥 Z50。ZO◎Zl OOで3∼9mm及 びZ20で2∼6mm程度であった。
造粒体の強度は、風乾状態でいずれも指では潰せ ないが、Zl OO℡Z20の場合は指で机に押しつければ潰 れる。Z80訪Z50⑪ZOはより強く固結しており、机に 押しつけても潰れない。水中に入れた場合Zl OOは数 分で自然に崩壊する、他のものはいずれも指では潰 れず、Z80◎Z50は机を使っても潰せなかった。ただ
し、流水に長期間ノ放置した場合は残存の消石灰が水 中に溶出し強度低下すると考えられる。ろ材として の利用を考える場合は、造粒体の炭酸化率を上げる ことが必要と考えられる。
(3)造粒品の塩基交換容量
ゼオライト粉末を固結化する場合、最も問題とな るのは団結化によりゼオライトの特性(塩基交換能) が低下しないかという点である。造粒体の塩基交換 容量(CEC)を表3に示す。
表3 造粒体の塩基交換容量(CEC) 試 料 名 Zl OO Z80 Z50 Z20 Z O 造粒体のCEC 130 1i 2 73 31 0.5 造粒体中のゼオ
ライト量より換 144 151 158
算したCEC
単位:meq(ミリグラム当量)/100g